メディカルハーブを勉強しよう

紅茶が好きだと、おのずとハーブにも関心が出てきませんか?

一応メディカルハーブコーディネーターという資格を持っているので、純粋にこのブログでもハーブ関する情報も定期的に発信しようと思います。

私自身、初心者のつもりでいますので、ハーブに興味があったり、これから生活に取り入れようと御考えであれば、一緒に学びましょう!

ハーブに対するイメージ

そもそもハーブに対するイメージとしては、香り、香りからくる癒し、料理に使われている、ハーブティーといった感じでしょうか。

よく見聞きするハーブですが、普段の生活の中で溶け込んでいるせいか、はっきり言ってそれほど気にするような存在でもありません。

しかし、昨今の社会環境において、心身に影響をもたらすストレスや生活習慣病等に対するハーブの役割は非常に大きなものがあるとされています。

ですので、さらに見識を深めていけば、ハーブの役割を自身の生活に取り入れて活用できることはもちろん、さまざまな場所で有用可能となるでしょう。

一方で、ハーブというと薬草という連想があるせいか、若干怪しいというイメージも否めません。

正直私もそういったイメージがずいぶん前にもありました(笑)

まぁ今は全くそんなことはなく、ハーブを日常生活に生かして楽しむことを基本に、安全性、有用性、様々な使い方を理解していきます。

メディカルハーブとはなにか?

メディカルハーブは、ハーブに含まれている成分を健康維持のために使おうとする分野で、薬用植物そのものとも言えます。

ハーブは、人の生活に役立つ植物の総称です。(「薬草」または「香草」という邦訳)

自然療法

近代医学以外の伝統的な療法を代替療法といい、健康管理、病気の予防、治療のときに、人の体にもともと備わっている自然治癒力を利用する共通点があり、これを「自然療法(ナチュロパシー)」といいます。

メディカルハーブも一分野で、古代から続く植物と人のかかわりは、最も歴史がある自然療法といえます。

体全体が一定のバランスがとれているのが健康なときで、バランスが崩れようとして、元の状態に戻す力が働くと考えるのが自然治癒力です。

ですので、病気になればバランスを元通りにしようと自然治癒力に働きかけます。

心も含めて全体的(ホリスティック)にとらえて、全体のバランスを見るといえます。

外部から影響する病気の原因、病んでいる部分にだけ働きかけようとするところが、近代医学との違いです。

風邪をひいたとして、抗生剤と解熱剤を使うのが近代医学で、体を温めて汗をかかせようとするのが自然療法です。

発熱は、ウイルスや細菌をやっつけようとする体の反応で、それを助けるためです。

つまり、自然治癒力に信頼を寄せるのが自然療法です。

近代医学との違い

違いは「薬」にあります。

近代医学は薬が主の単一成分で、メディカルハーブは多くの成分が含まれています。

一点集中ではなく、全身に多くの成分がバランスよく働きます。医薬品に比べて、成分量が少なく、副作用の心配もそれほどないでしょう。

しかし、近代医学の医薬品のルーツはメディカルハーブにあります。

薬用植物の成分の中から、有用なものだけを取り出して、さらにその成分と同じものを人工的に合成して医薬品が生まれています。

ということは、元は同じものということがわかると同時に、なぜ分かれてしまったのでしょうか?

純粋な疑問がわきますが、追々確認していきましょう。

メディカルハーブの歴史

記録を遡れば、古代ギリシア・ローマの時代からその歴史は存在しています。

現代のような医学に発展する前に、どういったことがわかっていてのでしょうか。

古代ギリシア・ローマの医学

時は古代エジプト時代の紀元前1700年頃、「パピルスの文書」に、アロエなど約700種のハーブが記録されています。(うがい薬、湿布など)

インドでは、紀元前1000年頃、伝統医学「アーユルヴェーダ」には、数百種類の薬用植物についての記録があります。

また、紀元前400年頃には、医学の祖である医師のヒポテラクスの「体液病理説」の考えのもと、400種類のハーブの作用、芳香浴の作用にも言及しています。

体液病理説とは

人の体内には、血液、黒胆汁、黄胆汁、粘液の4種類が流れ、そのバランスが崩れたときに病気になってしまうとされることが、体液病理説です。

つまり、伝統医学の基本は、体質を考えてバランスを回復させるというものになります。

現に、中国の伝統医学で、陰陽そして五行(宇宙を構成する木・火・土・金・水)のバランスで体質や病因を判断する「陰陽五行論」や、インドのアーユルヴェーダにも、ヴァータ、ピッタ、カパの3つで、体質を考えてバランスを回復させる考えがあります。

1世紀頃になると、医師のディオスコリデスの「薬物誌」に、薬効のある植物約600種があり、180年頃には、医師のガレノスが500種類以上のハーブで、水薬を生成し、漢代の中国では、中国最古の薬物書「神農本草経」というものがあります。

中世~近代の欧州

中世から近代のヨーロッパにおいて、植物療法に功績を残したペルシアの医師アビケンナ(イブン・シーナ)は、錬金術の技術から、蒸留方法を確立し、植物から精油を蒸留していて、これが今でいうアロマセラピーの基礎になっています。

植物療法の発展は、15~17世紀の大航海時代です。

ポルトガル、スペインの船が、スパイス類やハーブ類を持ち込んでいて、植物療法の専門家であるハーバリストも活躍しました。

(イギリスで、ターナー、カルペッパー、ジェラード、パーキンソン

近代医学、そして統合医療

近代薬学

1827年頃になると、ハーブ、セイヨウシロヤナギ、メドースイート(セイヨウナツユキソウ)から、サリシンという、抗炎症作用鎮痛作用のある成分が分離されます。

それをきっかけに、変化が始まります。

1860年あたりには、コカの葉からコカインが分離されたり、サリシンからアスピリン(アセチルサリチル酸)が科学的に合成されます。(今では犯罪のイメージが先行するものの、当時は麻酔薬として外科医療に貢献)

19世紀後半には、コレラ菌の発見ツベルクリンを開発したコッホ狂犬病のワクチンを開発したパスツールが登場しています。

特定の病気は特定の病原菌が原因とする『特定病因論』という考えが定着します。

また、20世紀には、その病原菌を殺すペニシリンなど、抗生物質が作られ、医薬品を使う近代医学が中心となります。

衰退していく伝統医学

医薬品は、病原菌を狙い撃つという意味で、「魔法の弾丸」と呼ばれ、それまでの伝統医学は次第に衰退していきます。

ヨーロッパの植物療法、インド(イギリス統治下)のアーユルヴェーダの学校、中国の伝統医学の学校も閉鎖となりました。

日本においても、1882年から1883年にかけ、医師免許法が施行されるも、漢方医は対象外となりました。

統合医療へ

近代医学は20世紀になって主流となりましたが、合成された医薬品や手術に頼る医療は、必ずしも万能ではないことが意識されることになります。

その理由は、薬害、副作用という医薬品自体の問題、環境汚染が社会問題となったこともあり、科学一辺倒に疑問が生じ始めました。

病気の性質の変化も理由の一つです。

生活習慣病、心身症といったことに悩む人が増えてきました。

近代医学が多くの伝染病を駆逐し、結果的に治療<予防、部分<全体の調和、といった近代医学より植物療法をはじめとする代替医療が得意な分野が見直されています。

近代医学×代替療法

近代医学、代替療法のそれぞれの長所を生かすため、統合医療がはじまりつつあります。

近代医学は、緊急治療や外傷への強みを発揮しますが、慢性的なものやストレスからの症状にはあまり効果が高いとは言えず、代替療法がその逆の傾向となります。

長所を生かし、短所を補うことで、患者にとって最適な医療となるのが統合医療の考え方になります。

具体的な将来像のイメージはまだないものの、メディカルハーブが活躍する可能性に期待はあるとされています。

他の自然療法の種類と違い

メディカルハーブ以外の自然療法についても、類似点や相違点を確認しておきます。

アロマセラピー

芳香療法」と訳されるアロマセラピーは、植物に含まれる成分の脂溶性の芳香成分を利用する方法です。

植物から濃縮した精油(エッセンシャルオイル)だけを使うので、植物本体を利用するメディカルハーブとは異なります。

原則として、精油は内服せず、芳香浴、入浴、マッサージの方法を用います。
(※海外では、医師の指導のもと内服している場合もあるようです)

フラワーエッセンス

イギリス人医師のエドワード・バッチ氏により考案されたフラワーエッセンスは、野生の花の持つエネルギーで心のダメージを回復させ、体のトラブル軽減にもつなげるというものです。

植物の化学成分ではなく、エネルギーの利用が目的となるので、メディカルハーブとは異なります。

数十の種類より、野生の花から作ったエキス数滴を、心の状態に応じて飲み分けるという活用方法となり、ハーブティーに落として飲むことがあります。

漢方薬

植物を原料とする部分はメディカルハーブと同じになりますが、動物や鉱物なども使用したり、定められた処方で多数の原料を配合したものを使うというところが異なります。

基本的に漢方薬は医療品に指定されています。

科名

植物は約30万種に分類され、分類学はリンネによりはじまり、植物の形態の違いを中心に分類されてきました。

その後は、進化の概念を取り入れ体系分類した分類体系が一般的に使われてきました。

近年では、DNA解析での分類が発展し、主流になりつつあります。

今後登場してくるエルダーフラワーやリンデンは、新旧の分類体系があって科名が異なるので注意して確認していきます。

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